古絵葉書・平和記念東京博覧会文化村住宅16枚組

文化村住宅袋
大正11年、第1次世界大戦の終結を記念して東京上野で平和記念東京博覧会が開催され、
その会場内に文化村という住宅展示場が設けられ、14棟のモデル住宅が展示されました。
この絵葉書はその文化村に出品されたモデル住宅を紹介したもので、全部で16枚セットとなり、
会場に展示さていた住宅が全て収録されています。

※以前、同じ平和記念東京博覧会文化村住宅の絵葉書を紹介しましたが、その時点では11枚しかなく、
今回新たに16枚すべて揃った状態で入手しましたので、前回紹介時に欠けていた5枚分を追加して
再構成しました。

なお、今回追加した5枚と前回紹介分の絵葉書と色合いが違いますが、これは当時の印刷技術によるもので、
同じ製品の絵葉書でも、それぞれ色合いに個体差があるようです。

続きを読むから御覧下さい。

*追記・関連として、
書籍・平和記念東京博覧会出品 文化村住宅設計図説(大正11年)
平和記念東京博覧会文化村住宅(内部
の記事をUPしました。
文化村住宅1

文化住宅とは、大正中期以降に流行した洋風生活を取り入れた一般向け住宅のことで、
都市圏へ通勤する中流家庭のサラリーマン向けに作られた住宅です。
何れも小規模ですが、本格的でモダンな洋風住宅でした。

最初の絵葉書は会場の様子。中々賑わっており、人々の関心の高さが伺えます。

文化村住宅1
一間の家。番号1番 価格1980円
中流サラリーマン向けの新居用の住宅でしょうか。洋風ではありますが、規模も小さくシンプルな建物です。
出品者は、「生々園宏達弥」氏。調べてみましたが、どういう人物か分かりませんでした。
文化村住宅2
吉永京蔵氏出品住宅 番号2番 価格4000円
こちらは和洋折衷とも言える中々オシャレな住宅ですね。
見学者も関心が高いせいか、内部の見学のために列を作ったり窓から内部の様子を伺ったりしています。
出品者の吉永京蔵氏も調べましたが詳細不明でした。
文化村住宅10
日本セメント工業出品住宅。番号3番。価格6342円。
出品された14棟のモデル住宅の中で唯一の鉄筋コンクリート製の四角いモダンな住宅です。
熱心に説明版に見入る人と警視庁の標語が面白い。
文化村住宅11
建築工業株式会社出品住宅。番号4番。
急勾配の大屋根がオシャレなかわいらしい住宅。熱心に中を見る2人のために
玄関内が良く見え無い・・・
文化村住宅7

島田藤吉氏出品住宅。番号5番。価格6200円。
本格的な洋風住宅といえる作品です。急勾配の屋根と大きな屋根窓、
カーテンのかかる窓がいい感じです。出品者の島藤本店は、
島田藤吉が設立した島藤建設のことで、島田藤吉は
京都の對龍山荘を手がけた人物でもあります。
文化村住宅2
あめりか屋出品住宅。番号6番。価格5400円。
あめりか屋は全国に洋風住宅を普及させた企業で、当初はアメリカ式の
バンガロー住宅を輸入し販売しましたが、その後は自社設計・施工の
洋風住宅建設が中心になり、中流家庭へ洋風住宅を普及させる役割を果たしました。
この住宅はバンガロー風ですが、屋根瓦は日本瓦で葺いてますね。
文化村住宅3
小澤慎太郎氏出品住宅。番号7番。価格5100円。
あめりか屋出品の住宅と良く似た感じですが、屋根瓦は洋風の瓦です。
白い縦長窓がいかにも戦前の洋風住宅ですね。
小澤慎太郎という人は検索してもわかりませんでした。
文化村住宅9
飯田徳三郎氏出品住宅。番号8番。価格4700円。
下見板で窓の少ない、悪く言えば倉庫みたいに見える住宅で、個人的には
余り好みじゃない住宅です(笑)別の角度から見たらまた違うのかもしれませんが・・・
玄関横にこの住宅の説明版があって、間取りの図面も併記されています。
これは親切。出品者の飯田徳三郎氏は検索しても不明。
文化村住宅3
銭高組出品住宅 番号9番 価格6900円
かなり本格的な洋館です。二階部分は大きな勾配きつい屋根部分に収められており、
また建物の基礎部分や玄関廻りは張石で、デザイン的にも手がかかってます。
その為、価格も高めですね。
出品者の銭高組は、現在も存在するゼネコン会社です。
文化村住宅6
前田錦蔵氏出品住宅。番号10番。価格2350円。
個人的には好みじゃないかも・・・。壁も窓も屋根周りも平凡で単調で、
見ていても心惹かれない住宅。前田さんには悪いが。
この手のデザインの住宅って、昭和30~50年代によく建てられた住宅に似ています。
だから魅力を感じないのかなぁ。
出品者の前田錦蔵氏を検索しても不明な点もあわせて。
文化村住宅8
上遠喜三郎氏出品住宅。番号11番。価格6930円。
上遠喜三郎はジョサイア・コンドルの弟子で、静嘉堂文庫などを手がけた建築家です。
建築学会常置委員会案という説明書きがあるのは、日本建築学会からの推薦があったのでしょうか。
一般住宅らしくシンプルでありながら、壁の水平ラインや窓際の格子状の花台はさすが洒落てますね。
見学者も興味深げに説明板を読んでます。
文化村住宅4
東京材木問屋同業組合出品住宅 番号12番 価格5000円。
こちらは和風住宅といったところですね。
洋館のような派手さはありませんが、洋風生活にまだ慣れた人の少ない大正時代の人々にとって、
和風の住宅のほうが馴染みやすく落ち着ける家だったのでしょう。
東京材木問屋同業組合は、明治39年発足の材木組合で、現在の東京木材問屋協同組合です。
文化村住宅4
生活改善同盟会出品住宅。番号13。価格5900円。
生活改善同盟会とは、大正9年に設立された文部省の外郭団体で、
衣食住や社交儀礼などの生活各方面の合理化と節約の
普及・講演・展示を活動としていました。(参照
生活改善同盟会は、文部・内務・農商務の官僚などで運営が行われ、
講演会やラジオ出演などもしていたようです。
住宅は中流向けの洋風住宅らしいシンプルでありながら
モダンな住宅デザインになってます。
文化村住宅5
樋口久五郎氏出品住宅。番号14.価格8500円。
建物自体はシンプルで特徴の無いものですが、手前の藤棚がいい感じです。
鉢植えとテーブルセットはとりあえず置いた感じですね。
樋口久五郎という人は検索しても分かりませんでした。
文化村住宅5
木村清兵衛氏出品南天庵茶席。番号15 価格4000円 
これは住宅というより茶室ですが、住宅の一つして出品されています。
出品者の木村清兵衛氏は、数寄屋建築・茶室建築では名人と言われた人物。


以上の文化村住宅の特徴として、一番目に付くのが装飾のほとんどない
シンプルなデザインだということでしょう。
それまでの財閥や官僚が住む洋館住宅は凝った装飾の大規模で正統派の豪華な洋館でした。
しかし、中流の一般市民にとっては逆に豪華装飾の洋館は落ち着かず住みにくかったのでしょう。
この文化村に出品された住宅のような洋風住宅はのちに「文化住宅」として日本に広まり、
現在へと繋がっていきます。
今の建売住宅はこれら文化住宅の流れを汲んでいるといえますね。
デザインも今の洋風住宅と良く似ているでしょ?
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コメント

これが絵葉書の・・・

古絵葉書ってこんなに高価なのか。(驚)
不思議な世界、マニアックですね。
そういえば神田の古書街で見たことがあるような。
ある意味、男の世界。
私もある音楽ジャンルの世界的なコレクターなのです。
昔のLPレコードも高価ですねぇ。
いずれにしろ、女性でこの種のコレクターは見たことも聞いたこともないです。(笑)

あ、この価格というのは、この絵葉書の住宅の値段で、(当時の金額)
この絵葉書自体の値段ではないですよ。

早とちりしました。(^^;;

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