古書籍・扇葉荘

扇葉荘1
藤井厚二 著 村田治郎・伊東恒治 編 新建築社 発行 昭和15年刊

京都御苑の西側、烏丸一条下るの場所に昭和13年に建てられた扇葉荘の建築概要を記した本です。
著者であり扇葉荘の設計者である藤井厚二は戦前の住宅建築の設計者として
京都を中心として多くの作品を手がけました。
その中でも京都府大山崎町に現存している聴竹居は戦前の住宅建築の名作として
知られています。
藤井厚二は昭和13年に直腸癌により49歳の若さで亡くなりました。
遺作となった扇葉荘は藤井厚二の集大成の作品にもなりました。
扇葉荘の建築概要本は藤井厚二の死去2年後の昭和15年に出版されたものです。
扇葉荘は15年ほど前まで現存していたようですが、残念ながら取り壊されてしまいました。
この本は在りし日の扇葉荘の姿を写真と図面で詳細に紹介しており、
藤井厚二の遺作となった作品の本として貴重な存在と思われます。
一部ではありますが、以下に本の内容を紹介します。
続きを読むからご覧ください。

扇葉荘2
扇葉荘の表紙。1枚目の画像は箱の表紙となります。
扇葉荘3
表紙をめくると最初に藤井厚二の序文があります。
扇葉荘4
次に編者の村田治郎と伊東恒冶の序文があります。
村田治郎は後に建築史家で京大名誉教授、伊東恒治は後に建築家。
両人とも藤井厚二の下で学んだ方のようです。
編者の序文によると、藤井厚二が手掛けた最後の大作である扇葉荘が未発表のまま埋もれてしまうのは惜しいため、
扇葉荘依頼主である中田輿兵衝と新建築社の社主である吉岡保五郎の協力のもと、1冊の本にまとめたとあります。
扇葉荘5
扇葉荘の正門。烏丸通側からの撮影です。下に藤井厚二の設計図があります。
扇葉荘6
扇葉荘の敷地配置図。庭園も藤井厚二の設計でした。
扇葉荘7
扇葉荘の外観立面図。扇葉荘は2階建ての数奇屋風和風建築でした。
扇葉荘8
1階平面図。かなり大規模な建物だったことが分かります。
扇葉荘9
2階平面図。
扇葉荘10
主屋玄関。
扇葉荘11
玄関内部。数奇屋風の作りですが、床はタイルっぽい感じです。
茶室の待合風のしつらえもあり、茶室の路地を意識しているのでしょうか。
扇葉荘12
1階広間。奥に階段が見えます。
扇葉荘13
客間南面。こちらは書院造の作りになってます。客間だけに格式のある作りのようです。
扇葉荘14
客間の見取り図。藤井厚二の手書きイラストです。
扇葉荘15
客間南面部分を外から見た写真。
扇葉荘16
庭園。この池泉回遊式庭園も藤井厚二の設計でした。
扇葉荘17
主屋外観。こちらは客間側の外観よりやや洋風な感じがします。
扇葉荘18
居間南面。内装は和風ですが、テーブルや椅子が置かれ、洋風の生活が定着した昭和10年代に合わせているようです。
扇葉荘19
居間の天井と照明。和風の照明に合わせたデザインですが、どことなくアールデコっぽくも見えます。
扇葉荘20
縁。いわゆるサンルームでしょうか。
床は組み木のフローリングにするなど、より洋風らしさを感じます。
扇葉荘21
台所。こちらはほぼ完全に洋風の作りとなっています。前ページの配膳室も同様のデザインとなっており、
料理という作業をするうえで洋風の作りの方が利便性が高いという理由だったのかもしれません。

ほんの1部の紹介となりましたが、以上が扇葉荘の本の内容です。
扇葉荘の本は全部で89ページあり、うち75ページに渡って扇葉荘の写真と図面が紹介されています。
それとは別に、藤井厚二が設計した茶室も紹介されています。
扇葉荘22
西堰亭という名の茶室です。藤井厚二は趣味人として知られ、茶道もたしなみ、茶室もいくつか設計していました。
扇葉荘23
扇葉荘24
また、藤井厚二は陶芸の趣味も持っており、作品の一部が紹介されています。
扇葉荘25
巻末に扇葉荘の建築概要があり、4ページに渡って各部屋や設備等の解説が書かれています。
扇葉荘26
奥書。非売品だったようです。関係者の方だけに配布されたのでしょうか。

扇葉荘の内容を読むと、藤井厚二の集大成の作品と言われるだけあって大規模でレベルの高い建物であることが感じられます。現存していたら聴竹居と並ぶ近代和風建築・近代住宅建築の名作として評価されていただろうと思うだけに
失われてしまったのが残念でなりません。
スポンサーサイト

コメント

コメントの投稿














管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

この記事のトラックバックURL
http://besankosyashin.blog56.fc2.com/tb.php/713-0f309111

<?php include_once("analyticstracking.php") ?>